症例_野球肩_60代男性

2024-07-09

股関節の痛みで見えられている60代男性のTさん。

股関節の方は順調に回復してきていますが、実は右肩が野球肩であることが
判明しました。

というのも、2か月後に日ハム戦のファースト・ピッチをすると言うのですが、「肩が
痛くてキャッチャーまで届くかな?」と不安を漏らしたのです。

そこでシャドウ・ピッチングをしてもらったのですが、右肩が全く上がりません。
バック・スイングができず、肘が曲がったまま手首だけで投げる感じです。

たとえて言うなら、初めて女の子が投球をする感じですかね?
ネズミが球を投げたらこんな感じになるのかな?というくらい肘が伸びません。

Tさんは、高校時代甲子園を目指しているような高校でレギュラーピッチャーを
していたのですが、その時に肩を痛めてしまったそうです。

今のようにバック・スイングが全くできなくなって30年以上たつようです。

そんなTさん、私が「これだったら多分ファーストピッチの時には投げられるように
なりますよ」というと、「ほんとですか?」と疑いの眼差し100%で見てきました(笑)

股関節の治療がメインでしたので、合わせて肩も診ますということで治療開始。

初回施術後、シャドウをしてもらうと「え?」と苦笑い。
「肩が上がる・・・」とつぶやきます。

そして2回目3回目と施術を重ねていくと、女の子のような投げ方ではなくなり、
野球が得意でない男の子の投げ方になっていきました。

そうして10回ほどの施術後は、「はい、あなたは野球をやっていましたね」という
投げ方までに回復しました。

そのときのTさんが一言「30年以上ぶりだな、こういった感じでシャドウができるのは。」
と感想を述べています。

そうして間もなくキャッチボールを再開です。
痛みのない範囲での投球となります。

ピッチャー・キャッチャー間の距離で投げられるようにもなりました。
ただ、まだ山なりな感じでの投球であることと肘が下がるという課題はありました。

その時の僕の命題は「Tさんのファーストピッチで球場を沸かせる」でした。
それを聞いたTさんは「はっはっは・・・」と軽く笑っていました。

冗談だと思っていたのでしょう。

そうしてひと月少々が経ち、ファースト・ピッチ当日。
私は直接見に行けなかったのですが、中継録画されたものを見ることができました。

結果は、見事ど真ん中にストライク。

剛球とはいきませんでしたが、投球がミットに収まった瞬間、球場が「おー!」と
どよめきました。

キャッチャーのミットが全く動くことなく見事にストライクです。
解説の方も「おー、すごいですね。見事にど真ん中に決まりましたね。」と言っていました。

Tさんもよほどうれしかったのか思わずガッツポーズをしていました。
普段は温厚で物静かな方なので僕もびっくりしました。

後日見えられたTさん。
同僚の方がとってくれた球場での様子を見させてくれました。

僕も約束を守れてほっとしましたというと、「ありがとうございます」と笑顔で答えてくれました。

今後については、来年野球をしようと思っているので肩を万全にしたいとおっしゃいます。
股関節の事と合わせて継続的に治療することになりました。

肩が動くようになって、ゴルフの視距離が格段に伸びたというおまけもつきました。

まさか野球が出来るようになるとは思っていなかったので、本当に良かったですと言って
くれてます。

僕としては、ピッチャーとしてマウンドに立てるようにしようと思っています。