症例_膝痛_70代後半_女性
2023-06-06
膝の痛みの症例を一つ。
70代後半の女性Oさん。
猫を拾い上げようとした時に、猫が横に逃げてしまったのを追いかけよう
として右膝を捻じってしまい、「ゴキッ」と音がしたと思ったら激痛が走りました。
その後は、全く曲げることができなくなり整形外科へ。
骨には異常はなかったものの膝裏の筋肉がはがれて落ちてしまっていると
言われたそうです。
痛みが続くようであれば手術が必要ですが、年齢的なこともあるのでお医者さんは
あまり薦めませんでした。
「とりあえず装具を作り膝を補助して、腫れと痛みが落ち着くのを待ちましょう。」
ということで湿布をもらって帰ってきました。
そして翌日当院へ。
見てみるとほぼ曲げることができない状態です。
初日は膝回り、特に膝裏を重点的にアプローチします。
ついで、膝全面とふともも全面です。
いつもより多少時間がかかりましたが、それでも20分弱程度の時間で
初日は終了。
翌日二回目です。
絶対に膝を曲げないように言ってありましたので、しっかりと守ってくれていたようです。
腫れは前日より多少引き、可動域も数%ほど出てきました。
「これであれば手術をしなくても大丈夫だと思いますよ。」と伝えるとOさんは涙ぐんでいます。
そして前日同様二日目も終了。
これをさらに5回ほど繰り返したころには可動域は半分ほどまで回復。
装具もできたことで負担が減り、動くのが楽になったと喜んでいました。
ですがここで重要なアドバイスを一つ伝えます。
それは、「装具は常にするのではなく、どうしても動かなければならない
時にだけ使う」ということです。
装具をすると血流が悪くなり、痛めたところの治りがその分遅くなります。
取り外しが効く場合は、普段はしないで痛みの出ない範囲だけで動き、
痛みを感じたらすぐに動きを止めて膝を休めます。
そうすることで膝に負担をかけないようにするのです。
装具をするとどうしても動かせる範囲が広くなりますので膝を動かせてしまします。
それが積み重なり、もし痛みが出るまでに動かしてしまうと、「時すでに遅し」で膝を
大きく痛めてしまう場合があります。
ですから、装具を使いっぱなしでも極力動かないように、動かせてもその50%
くらいのパフォーマンスを心がけることです。
そうすれば再び痛めてしまうリスクは減らせます。
でも、それよりも装具をしないで痛みの出ない範囲で生活することの方が、
もっと効果的に早く良くなります。
どうしても痛みが伴う動きをしなければならない時にだけ装具を使う。
こうすることで血流が滞らないので早く傷が癒えていきます。
そう言った事をOさんに伝えそれを忠実に守ってもらいました。
初回から一週間で装具ができた時に診てもらってからさらに三週間後の
整形の検診では、「手術の必要はなさそうですね」と言われたそうです。
そうしてさらに一か月後。
装具がない状態でも普通に歩けるようになりました。
まだ不安が残り、長く歩いたり走ったりはしていませんが、普通の状態に
戻ることはできるでしょう。
Oさんの今の目標は、東京に杖なしで行くことだそうです。
最初は本当に途方に暮れた感じでしたが、今ではすっかり表情も明るくなり
笑い話もしてくれます。
力になれて本当に良かったです。
もう少しがんばりましょうね。
ところで、膝裏のはがれた筋肉とやらはどうなった?(笑)